会議が終わった数か月後に、「あのとき何が決まったんだっけ」と探し直した経験はないでしょうか。議事録を書いたつもりでも、保存場所がばらばらだったり、そもそも録画や文字起こしが期限切れで消えていたりして、中身にたどり着けないことがあります。

この記事では、CopilotでTeams会議の議事録を作り、消えないように残し、後から複数の会議を横断して探せる状態にする手順を整理します。出来上がるのは、会議の決定事項やタスクを自然な言葉で聞ける「会議の知識置き場」です。

なお、この記事はMicrosoftの公式情報と各社の解説記事をもとにまとめた紹介記事で、私が実際に試した体験談ではありません。2026年10月時点の情報で、料金や画面の名称は変わることがあります。ご自身の画面で確認しながら読み進めてください。

会議を知識置き場にする4つの段階

会議を「あとで使える知識」にするには、次の4つの段階を順番に踏みます。

段階やること使うもの
1. 記録する会議の文字起こしを残すTeamsの文字起こし
2. 整える議事録・決定事項・タスクの型にそろえる会議中・会議後のCopilot
3. 残す議事録をWordやExcelの成果物として保存する書き出し機能
4. 探す複数の会議を1か所に集めて、横断して聞くCopilot Notebooks(ノートブック)

1と2だけなら、会議のたびに議事録を作るだけで終わります。3と4まで進めると、「前回の定例で、納期について何が決まったか」を後から探せるようになります。

先に知りたい保存期限|文字起こしは既定120日

手順に入る前に、いちばん大事な事実を押さえておきます。Teamsの会議の録画と文字起こしは、何もしなければ既定で120日たつと期限切れになります。

Microsoftの公式ドキュメントでは、次のように説明されています。

  • 録画と文字起こしの既定の保存期間は120日で、期限が来るとOneDriveやSharePointのごみ箱に移動する
  • 管理者は、保存期間を1日から99,999日の範囲で変えられる。PowerShellを使えば「期限なし」にもできる
  • 設定を変えても、効くのは新しく作る録画と文字起こしだけで、すでにあるものの期限は変えられない
  • 保存場所は、チャネル以外の会議なら主催者のOneDrive、チャネル会議ならチャネルのSharePointサイト
  • 職場や学校のアカウントの場合、ごみ箱に入ってから93日たつと、元に戻せなくなる

文字起こしが消えると、会議の画面には「録画は利用できません」と表示されます。Copilotは文字起こしをもとに答えるため、期限が切れた会議については、あとから質問しても答えが返ってきません。

つまり、会議を知識にする条件は、Copilotが作った議事録を、文字起こしとは別に成果物として残しておくことです。この記事の手順3が、そのための手順です。

個人事業主の方は、ご自分が管理者かどうかで取れる手段が変わります。管理者でない場合は、保存期間の設定を自分では変えられないため、期限が来る前に成果物として残す方法が現実的です。

準備するもの|ライセンスと会議の設定

ライセンス

会議の内容をCopilotで扱う機能は、無料のCopilot Chatと有料のMicrosoft 365 Copilotで、できることが分かれています。Microsoftの公式の比較表から、この記事に関係する項目を抜き出します。

できることCopilot Chat(無料)Microsoft 365 Copilot(有料)
ノートブックに追加できる参照の数最大50最大300
会議のチャット・文字起こし・AI要約を参照にするできないできる
会議で共有・提示されたファイルを参照にするできないできる
Teamsのチャットや会議の招待を参照にするできないできる
音声概要(音声で聞ける要約)なし1日20回まで

ノートブックを作ること自体は、Copilot Chatでもできます。ただし、会議の文字起こしを参照にして横断して聞く使い方は、有料のライセンスが前提です。個人向けのMicrosoft 365で同じことができるかどうかは、公式の表では確認できませんでした。契約の前に、公式ページでご確認ください。

ライセンスがない場合の代わりの方法は、後ほど紹介します。

会議の設定

会議後にCopilotへ質問するには、会議中に文字起こしをオンにしておく必要があります。会議のオプション「Copilotとその他のAI」には、次の3つの選択肢があります。

選択肢会議中会議後
会議中と会議後使える使える(文字起こしが必須)
会議中のみ文字起こしした部分で使える文字起こしとCopilotのやり取りは使えない
オフCopilot・録画・文字起こしがすべて無効使えない

「会議中のみ」にすると、会議が終わった時点で文字起こしもCopilotとのやり取りも使えなくなります。知識として残したい会議は、「会議中と会議後」にしてください。組織のポリシーによっては、主催者が変更できないことがあります。

また、次の会議では使えません。

  • 社外の組織が主催する会議
  • エンドツーエンド暗号化の会議

手順1:会議を記録する

  1. 会議を設定するときに、オプションの「Copilotとその他のAI」で「会議中と会議後」を選びます。
  2. 会議が始まったら、「その他」の中の「レコーディングと文字起こし」から、文字起こしを開始します。録画までは必須ではありません。
  3. 文字起こしの言語を、実際に話す言語に合わせます。言語の設定が合っていないと、精度が落ちます。

文字起こしの精度は完全ではありません。次のような場面で、間違いが増えやすくなります。

  • 複数の人が同時に話す、雑音が多い、回線が悪い
  • 略語や業界用語、社内の言い方、同音異義語
  • 人名・社名・製品名

そのため、会議の中で次のことを声に出して確認しておくと、後の確認が楽になります。

  • 重要な数字
  • 期限
  • 担当者(例:「では〇〇さんが、〇日までにお願いします」)

また、2時間を超えるような長い会議では、Copilotの回答が制限されたり遅くなったりすることがあります。長い会議は、区切って別の会議として開く方法もあります。

手順2:議事録の型をそろえる

会議が終わったら、会議のチャットから「Copilotを開く」を選んで、議事録を作らせます。会議後の画面の「概要(Recap)」タブからも、同じ会話の履歴を確認できます。

公式には、次の3つの定番のプロンプトが用意されています。

  • 「ここまでの会議を要約して」
  • 「アクションアイテムを一覧にして」
  • 「議事録を作成して」

これでも議事録はできますが、横断して探したいときは、毎回同じ形にそろえておくことが大切です。項目の順番と形式を最初に指定すると、会議ごとの違いが減ります。次のような指示が考えられます。

この会議の議事録を、次の順番の表にまとめてください。
1. 議題
2. 決定事項(決めた人の名前つき)
3. 保留事項
4. タスク(担当者と期限)
聞き取れない箇所は推測で埋めず「要確認」と書いてください。
発言に期限がないタスクは「期限未定」と書いてください。

ポイントは、最後の2行です。わからない部分を推測で埋めさせないと、担当者や期限の間違いを防ぎやすくなります。

この他に、場面に合わせて次のような頼み方もできます。

出席していない人向けに、要点と依頼事項を5行でまとめてください。
この会議で意見が分かれた点を、立場ごとに表にしてください。

2つ目は、公式サポートで紹介されている「意見が分かれている点は?」という質問と同じ方向の頼み方です。表で返してもらうと、次の手順で書き出しやすくなります。

出力はいつも同じとは限りません。出てきた議事録は下書きとして扱い、担当者名・期限・数字・固有名詞は、文字起こしや録画と照らして確認してください。回答のポイントには番号が付き、番号を選ぶと元の文字起こしの該当箇所を開けます。

手順3:議事録を成果物として残す

文字起こしは期限切れで消えるため、議事録は別の場所に成果物として保存します。

Copilotの回答は、そのままWordやExcelに書き出せます。

  • Wordへの書き出し:回答が1,300文字を超えるときに使えます
  • Excelへの書き出し:表の回答のときに使えます

書き出しができないケースもあります。

  • 会議に、書き出しを禁止する機密度ラベルが付いている
  • 会議のオプションで「コピーと転送をオフにする」を選んでいる
  • 回答が短い(Wordの場合)

また、同じ定例会議(繰り返しの会議)で、あとの回を文字起こしすると、前の回のCopilotとの会話履歴が消えることがあります。議事録をその場で保存しておくのは、このためでもあります。

保存先は、会議の種類ごとにフォルダを分けるのがおすすめです。次の手順で使うノートブックにまとめて追加できるように、ファイル名にも日付と会議名を入れておきます。

  • 例:2026-10-18_定例会議_議事録.docx

ここまでが、期限切れから会議の内容を守る部分です。以降は、残した内容を探せる形にします。

手順4:ノートブックに会議を集める

Copilot Notebooks(ノートブック)は、資料を1か所に集めて、その資料をもとにAIに質問できる機能です。会議の文字起こしや議事録を集めれば、複数の会議を横断して聞けます。ノートブックは、利用者のOneDriveに保存されます。

会議を追加する方法

日本語の解説記事では、次のように紹介されています。画面の名称は更新で変わることがあるため、近い項目を選んでください。

  • 新しく作る場合:Copilot Chatの左ペインの「ノートブック」から新規作成し、名前を入力して、参照にする履歴やファイルを追加します
  • すでにあるノートブックに追加する場合:ノートブックを開き、「参照」欄の「+」から「作業コンテンツ」を選び、「会議」欄で対象の会議を選んで「追加」を押します

参照にできるのは、録画または文字起こしが保存されているTeams会議だけです。期限切れで消えた会議や、文字起こしをしなかった会議は対象外です。手順3で保存したWordの議事録は、ファイルとして追加できます。

追加できるファイルと上限

ノートブックには、次の形式のファイルを参照として追加できます。

  • Word(.docx)、PowerPoint(.pptx)、Excel(.xlsx)、PDF
  • Loop(.loop)、Copilot Pages(.page)、テキスト(.txt)、リッチテキスト(.rtf)
  • OneNoteのページ

参照の数は、有料のライセンスなら最大300、無料のCopilot Chatなら最大50です。300を超えて追加することはできますが、実際に回答の根拠として使われるのは先頭の300件です。フォルダやサイトを丸ごと追加すると、その中から関連性の高い最大300件が選ばれるため、確実に使いたいファイルは直接追加してください。

使いやすくするコツ

ノートブックの使い方の解説では、次のような運用がすすめられています。

  • 参照は絞る。数を増やすより、必要なものに絞ったほうが答えの質が上がる
  • 最初に、プロジェクトの説明(誰が読むか、何を決める会議か)を書いたメモを追加しておく
  • 大事な回答は、チャットの履歴にだけ頼らず、Copilot PagesやWordに保存する
  • 古い資料が新しいものに置き換わったら、参照も入れ替える。ノートブックは古いファイルを自動では見分けない

会議の単位は、定例会議のシリーズごと、顧客ごと、プロジェクトごとなど、あとで聞きたい単位に合わせてノートブックを分けると探しやすくなります。

手順5:後から探す

ノートブックができたら、ノートブックのチャットで質問します。たとえば、次のような聞き方があります。

  • 「このノートブックの会議で、納期について決まったことを、会議の日付つきで教えてください」
  • 「担当者が決まっていないタスクを、一覧にしてください」
  • 「まだ終わっていないタスクを、担当者と期限つきで表にしてください」
  • 「意見が分かれた点を、会議ごとに整理してください」

複数回の定例会議を横断して、決定事項や今後のアクションを整理したり、未完了のタスクと担当者、期限を一覧にして対応漏れを防いだりする使い方が、解説記事では紹介されています。

回答には参照元が示されます。重要な判断に使うときは、参照元の議事録や文字起こしを開いて、原文を確認してください。要約や音声概要は全体像をつかむには向いていますが、細かい条件や発言の意図が省略されることがあります。

自分の仕事に置き換えるコツ

この記事の手順は、定例会議を想定していますが、次のように置き換えられます。

  • 定例会議:シリーズごとにノートブックを1つ作り、議事録の型を固定する
  • 顧客との打ち合わせ:顧客ごとにノートブックを分け、「前回の依頼事項」「未回答の質問」を聞けるようにする
  • プロジェクト:会議の議事録に加えて、企画書や見積書も同じノートブックに追加する

どれも、「何を後から聞きたいか」から逆算して、議事録の項目(決定事項・保留事項・タスク)と、ノートブックの単位を決めるのがコツです。

ライセンスがないときの代わりの方法

有料のライセンスがなくても、議事録の下書きは作れます。ただし、複数の会議を横断して探すことはできません。

  1. 会議のあとで、文字起こしをWord形式(.docx)でダウンロードします。既定では、ダウンロードできるのは主催者と共同主催者だけです
  2. そのファイルをCopilot Chatに添付して、手順2のような指示で議事録にまとめるよう頼みます
  3. できあがった議事録をWordに保存して、自分のフォルダに残します

組織の設定でファイルのアップロードが制限されていることがあります。うまく添付できないときは、管理者に確認してください。

うまくいかないとき

状況確認すること
会議後にCopilotへ質問できない会議のオプションが「会議中のみ」になっていないか。会議中に文字起こしをしたか
「情報が足りない」と返ってくる発言が少ない、または文字起こしがほとんどない会議ではないか
書き出しのボタンがない回答が1,300文字以下ではないか。機密度ラベルや「コピーと転送をオフ」の設定がないか
ノートブックに会議が出てこない録画や文字起こしが保存されているか。期限切れではないか。有料ライセンスがあるか
定例会議の前回の会話が消えたあとの回で文字起こしをすると前の履歴が消えることがある。議事録はその場で保存する
担当者や期限が違う人名・数字・期限は誤りやすい。文字起こしと照らして修正する

よくある質問

無料のCopilot Chatでも、会議を横断して探せますか。

会議の文字起こしやAI要約をノートブックの参照にする機能は、公式の表では有料のMicrosoft 365 Copilotだけが対象です。無料のCopilot Chatでは、文字起こしをWordで保存してから添付する方法で、1回分の議事録を作れます。

120日を過ぎた会議の内容は、もう探せませんか。

文字起こしそのものは、期限切れでごみ箱に移動します。ごみ箱に入ってから93日以内なら元に戻せる場合がありますが、期限が切れた会議についてCopilotに質問するのは難しくなります。手順3で議事録をWordなどに保存しておけば、その成果物はノートブックの参照として使えます。

社外の人が主催する会議でも使えますか。

使えません。Copilotは、参加者の組織の外で主催された会議では動作しません。社外の会議の内容は、メモや議事録を自分で作って、ファイルとして保存してからノートブックに追加する形になります。

まとめ

会議を知識にする鍵は、文字起こしが既定で120日で期限切れになる前に、議事録を成果物として残すことです。残したものをノートブックに集めれば、「前回何が決まったか」を自然な言葉で探せるようになります。

最初の一歩は、次の会議の設定を「会議中と会議後」にして、文字起こしを始めることです。そのうえで、議事録の型を1つ決めて、毎回同じ形で保存していくと、数か月後に探せる量がたまっていきます。ライセンスや画面の名称は変わることがあるため、実際に使う前に、ご自身の環境で確認してください。